日本で報告された病原菌による感染症が「世界的に流行」する恐れアリ「カンジダ・オーリス」と呼ばれる真菌(空気中を漂うカビ)が引き起こす、深刻な感染症が世界的に広がりつつある。
これまで米国では587名の患者が報告されており、他にも英国やスペイン、ベネズエラをはじめ各国で感染者が出ているという。
この病原菌は複数の医薬品(抗菌剤)に対して耐性を持つため、医療関係者や科学者らが危機感を募らせている。
カンジダ・オーリスが世界で最初に報告されたのは日本で、それは2009年のことだ。元々は、ある病院に入院していた女性患者の耳の内側から発見されたという。
ただし、現在、世界各国で報告されている同感染症が当時の日本から広がったというわけではなさそうだ。
カンジダ・オーリスは繁殖力が非常に強く、2015年、これに感染した患者が入院していたロンドンの病院では、「エアロゾル(微粒子)化した過酸化水素」を噴霧する最先端の除去装置を使っても、この病原菌を(患者がいた)病室から完全に除去することができなかったという。
このため看護師ら病院スタッフも、これに感染した患者に近寄るのを恐れる傾向があるようだ。
たとえば2017年、ニューヨークの某病院ではカンジダ・オーリスに感染した72歳の男性患者が、ベッド上で自身の排泄物と共に1時間以上も放置され、患者の家族が病院の対応に憤慨したという。
米CDC(疾病対策予防センター)がインドやパキスタン、ベネズエラ、南アフリカ共和国、そして日本で報告されたカンジダ・オーリスのゲノム(遺伝情報)を比較したところ、いずれも異なる系列に属することが判明した。
つまり、それは地球上のどこか一箇所で発生したのではなく、むしろ広い地域に渡って別々の起源を有するのではないかと見られている。
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