閉館した犬吠埼マリンパークに取り残されたイルカのハニーと46羽のペンギン。
その健康状態は?
「1月29日に突然『31日をもって閉館します』という発表がありました。閉館の2日前の告知は異例です。実は、犬吠埼マリンパークは動物好きの間では『イルカの飼育環境がよくない』と噂のある水族館でした。
それで気になって閉館前に行ってみると『体調不良のためイルカショーはありません』という看板が出ていた。そして、プールでは一頭のイルカが小学校の25mプールよりも狭いような場所でプカプカと浮いていた。とてもかわいそうな状況だったんです。
ただ、閉鎖するときは『すべての動物を無償で譲ります』という発表もあったので、イルカやペンギンに関しては、すぐに引き取り手が現れるだろうと安心していました。それが、動物愛護団体の人から『4月になってもまだ水族館に残されている』と聞いて、びっくりしたんです」
そこで佐藤氏は「譲渡先がなくて困っているなら相談してください」という趣旨の手紙を犬吠埼マリンパーク入り口のドアに挟んだ。しばらくすると手紙がなくなっていて、ちょうど運営会社の人が外に出てきたので「手紙を読んでもらえました?」と聞くと。「もう次(譲渡先)が決まっているから」と言ったという。
そして「イルカのハニーさんは元気ですか?」と尋ねると「うん」とうなずいた。
「しかし、公道からプールにいるハニーさんの写真を撮ると背中に無数の傷があった。そこで保健所に連絡をして、ケガの具合を見てほしいと頼んだら、後日『月に一度の立ち入り検査で確認したところ、水族館の方が薬を塗っているので傷は少し良くなっているようです』という報告を受けたんです」(佐藤氏)
佐藤氏が、こうした様子をブログやYouTubeなどにアップすると、一気にイルカのハニーは注目された。そして、ネットメディアや新聞などが取り上げ始めたのだ。
では、なぜ今でもイルカのハニーやペンギンは残されているのか? なぜ引き取り手が決まっていないのか?
「それがわからないから、騒ぎになっているんです。そのことを聞いても運営会社の人は口を閉ざします。僕は閉鎖されてから7回くらい犬吠埼マリンパークに様子を見に行っていますが、飼育員に話しかけても返事をしてくれない。電話も何ヵ月も前から通じなくなっています」(佐藤氏)
イルカの飼育をしている和歌山県の「太地(たいじ)町立くじらの博物館」に聞くと……。
「通常、群れで生活をしているイルカを一頭で飼育することはありえません。一頭だとストレスから動きが単調になったり、浮いたままの状態になる。また、ストレスがたまり続けると寿命が短くなる。飼育者の意見としては、できるだけ早くほかの水族館に移すのがいいでしょう」
こうした状況に対して、銚子市の動物の愛護・管理を担当する千葉県海匝(じゃいそう)健康福祉センターは、どう対応しているのだろうか。連絡をしてみると、犬吠埼マリンパーク関連の問い合わせには、千葉県の衛生指導課が一括して答えているという。
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