自動運転車の倫理基準、犠牲者選択の「目安」特定 研究
そう遠くない未来、自動運転車は、車に乗っている人か歩行者、どちらの命を守るか選ばなくてはならないような事故に遭遇するだろう。だが、犠牲者はどのように決められるのだろうか。
自動運転車が道路を埋め尽くす未来に少しずつ近付くにつれ、各国政府や企業はこのような難しい問題に直面することになる。英科学誌ネイチャーは23日、自動運転車の倫理上の問題に関するアンケートの結果をまとめた研究論文を掲載した。
研究者らは2016年6月、「モラル・マシン」と題したアンケートをインターネット上に公開。アンケートは10か国語に対応しており、現在も引き続き公開されている。今回の研究では、公開から18か月間で集まった回答200万件以上のアンケート結果を分析した。
アンケートでは、年齢が若い人の方を優先すべきか、体が弱い人ではなく健康な人を守るべきか、常により多くの命を守ることが望ましいかといった、倫理的に回答することの難しい質問が用意された。
研究者らは、このアンケートを通じて、自動運転車に関する基本的なガイドラインの作成が可能かどうかを探っていた。
論文の共同執筆者の一人、仏トゥールーズ経済大学のジャンフランソワ・ボヌフォン氏はアンケートを調査した結果、「おおよそ誰もが同意できる、主に三つの原則を特定した」とAFPの取材に述べ、それらが「動物よりも人の命を優先する」「できるだけ多くの人を救う」「子どもを優先する」だったことを説明した。
ただ同氏は、「確実に優先される原則がある一方、その他の基準は国によって異なっていた」ことにも触れた。
筆頭執筆者を務めた米マサチューセッツ工科大学(MIT)のエドモンド・アワッド氏は、研究データについて、各国の政府当局者が自動運転車と向き合う際の助けなるよう意図したと述べる。
「特に誰の命を優先すべきかという難題については、必ずしも一般の人の意見に専門家が合わせる必要はない」と、アワッド氏は言う。「だが、何か間違いが起こったり、規制を導入したりする際に、人々がどのような反応を示すかは、少なくとも理解しておくべきだ」
では、政府や規制当局が、実際に命に優先順位を付けることを法令化できるのだろうか。現時点でこれは未解決だ。自動運転車に関するガイドラインを成文化しようとした国は、ほぼ皆無だが、ドイツの倫理委員会は2017年、一つの例を示した。
この時の委員会では、「個人の特徴(年齢、性別、身体的または精神的構造)に基づく区別は固く禁ずる」と明示された。
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モラル・マシン(アンケートサイト)