渋る防衛省、安倍首相が押し切る=日韓対立泥沼化も―映像公開
韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題をめぐり日韓の主張がぶつかる中、防衛省が「証拠」として当時の映像の公開に踏み切った。
同省は防衛当局間の関係を一層冷え込ませると慎重だったが、韓国にいら立ちを募らせる安倍晋三首相がトップダウンで押し切った。日本の正当性を世論に訴える狙いだが、泥沼化する恐れもある。
韓国政府は11月、日韓合意に基づく元慰安婦支援財団の解散を決定。元徴用工訴訟をめぐり日本企業への賠償判決も相次ぎ、首相は「韓国に対し相当頭にきていた」(自民党関係者)という。
そこに加わったのが危険な火器管制レーダーの照射。海自機への照射を否定する韓国の姿勢に、首相の不満が爆発したもようだ。
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yahoo北漁船を普段から救助か…知られたくなかった?
「海上自衛隊が適切な行動をとったことを国民に理解してほしい」
岩屋防衛相は28日の記者会見でこう述べ、映像公開の意義を強調した。
約13分間の映像は冒頭、韓国海軍の駆逐艦や海洋警察の警備救難艦、北朝鮮漁船とみられる遭難船などに、海上自衛隊のP1哨戒機が近づく様子から始まっている。映像開始から6分すぎ、駆逐艦から約5キロ離れた地点で、哨戒機が火器管制レーダーの電波を初めて探知した。
哨戒機の乗員の一人は「避けた方が良いですね」と緊迫した様子で声を上げ、機長が駆逐艦の大砲の向きを確認するように指示した。哨戒機が回避行動をとった後、探知音を聞いていた乗員が「めちゃくちゃすごい音だ」と強い電波に驚く場面も記録されている。
その後、乗員は韓国駆逐艦に対し、三つの周波数で「行動の目的は何ですか」などと英語で問い合わせたが、韓国側からの応答はなかった。
現場は好漁場の「大和(やまと)堆(たい)」の周辺で、大量の北朝鮮漁船によるイカの密漁が問題となっている。日本政府関係者は「韓国軍は北朝鮮漁船の救助に普段から関わっている可能性があり、日本に知られたくなかったのではないか」と分析している。
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