東電元副社長、津波対策は“適正な手順” 福島第1原発事故裁判
福島第1原発事故をめぐり、強制起訴された東京電力の元副社長が、16日の被告人質問で、津波への対策について、「対策の先送りではなく、適正な手順だった」と主張した。
福島第1原発事故をめぐって、東電の勝俣恒久元会長ら3人は、津波を予測できたのに対策を怠り、病院の入院患者らを死亡させるなどした罪に問われ、いずれも「予見は不可能だった」と無罪を主張している。
16日の被告人質問で、武藤栄元副社長(68)は、最大で15.7メートルの津波の試算結果の報告を受けたあと、直ちに対策を講じず、外部に研究を依頼したことについて、「試算結果の根拠を調べるためで、対策の先送りではなく、適正な手順だった」と述べた。
そのうえで、東電の元社員が今回の裁判で、武藤元副社長から対策の先送りを指示されたなどと証言していることについて、「先送りと言われるのは大変心外だ」と強く否定した。
yahoo双葉病院患者死亡は原発事故が原因 看護師証言
東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第26回公判が18日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、事故の被害状況が初めて審理された。避難先などで多くの患者が死亡した双葉病院(福島県大熊町)の看護師だった女性が証人として出廷し、「患者が亡くなったのは、原発事故が原因だった」との見解を示した。
起訴状などによると、旧経営陣3人は大地震が発生すれば原発に巨大津波が襲来して事故が起きると予想できたのに対策を怠り、2011年3月の事故を招き、原発から約4.5キロ離れた同病院の入院患者ら44人を死亡させたとされる。
午後の公判では、同病院の看護副部長だった女性が、患者の避難状況を証言。「(原発事故が起きず、患者が避難先から)双葉病院に戻ることができれば、医療器具や薬が使えたので、もう少し(命を)保てた」と述べた。
看護副部長はまた、避難先に到着するまでの長時間の移動中に、バスの中で既に亡くなっていた患者に気づいたことを明かし、「顔がそうはくで、衝撃だった」と説明。「白い防護服にくるまれたり、席の下に倒れたりしている患者もいた」と当時の過酷な状況を振り返った。
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