被爆の記憶継承、伝承者の派遣支援 厚労省
厚生労働省は2018年度から、被爆体験を本人に代わって語り継ぐ「伝承者」の支援に取り組む。国内外での講話にかかる費用を負担するなどし、伝承者がより多くの場所で活動できるようにする。被爆者の高齢化で当事者による語り部活動が難しくなっている。伝承者の活動を支援し、記憶の風化を防ぐ狙い。
これまでは伝承者を受け入れる側が旅費や謝礼金を負担していたが、今後は全ての費用を国が負担する。広島平和記念資料館の担当者は「東京に派遣すると1泊2日で5、6万円ぐらいかかる。支援事業のおかげで予算が少ない学校なども依頼しやすくなる」と話す。
厚労省によると、17年3月末時点で被爆者の平均年齢は81.4歳。1988年には約35万人いたが30年で約16万人にまで減り、当時の記憶を語り継ぐ伝承者の育成も急務となっている。
伝承者は約100人おり、両市の資料館で来館者向けに語り部をするほか、各地の学校などに出向いて活動する。広島平和記念資料館の担当者は「今後は伝承者を遠方に派遣しやすくなり、被爆の実相がより細かく伝わるきっかけになる」と期待を寄せた。
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nikkei