日本の柔道、虐待や暴力問題への世間の厳しい目
日本は柔道発祥の地だ。19世紀に生まれたこの格闘技は、来年の東京オリンピックで他のどの競技よりも確実に高い関心を惹くだろう。
だが、柔道はまた、広く知られるところとなった暴力問題の申し立てや、過去数十年の日本の柔道界で起こった軍国主義的なトレーニングによる怪我、虐待のため、世間の厳しい目にさらされてもいる。1983年から2016年の間に日本の柔道界では121件の死亡事故が起きた。
また、性的暴行も問題になっている。2011年、2度オリンピックで金メダリストとなった内柴正人が、柔道部員の一人に性的暴行を加えたとして逮捕された。2013年、女子柔道選手15人が匿名で柔道界に蔓延する暴力行為やハラスメントを告発する文書を公表した。
「柔道が非常に危険だと思われてしまっているのは悲しいことだと思う。日本の柔道界はこのことを真剣に受け止めなくてはならない」と、全日本柔道連盟会長の山下泰裕は語った。
日本の柔道界はこの数年間、状況の改善に注力していると主張するが、まだまだ道のりは遠い。
「問題はメッセージが草の根レベルまで届いていないことだ」
対戦相手の力を使って投げ技や寝技を決める柔道は、元来、文字どおりの「柔らかい道」を意味する。だが、これまでの日本の柔道界はその真逆をいっていると批判されている。
フランスや他国での柔道についての専門家、ミッシェル・ブルースは、これは非常に深刻な問題ですぐにでも改善策がとられなければ、「日本の柔道に未来はない」と考えている。
問題点の一つは、日本の柔道の指導者は柔道には長けていても若者の身体的及び心理的なニーズに応える術を知らないことだとブルースは言う。
現在は日本女子体育大学で教えており、フランスでも指導経験のあるオリンピック銀メダリストの溝口紀子は、フランスで学生たちから「ノリコ」と呼ばれたことを覚えている。日本の柔道界の厳格な階級主義の中では考えられないことだ。
日本では柔道を教わる生徒ははっきりとした声で「はい」とだけ答えるように言われ、目上の者を下の名前で呼ぶことはあり得ないと溝口は語る。
全国柔道事故被害者の会代表の小林恵子16年前、中学校の教師が体罰として柔道の絞め技と投げ技をかけたことで脳出血を起こし、重体となった。体罰の理由は、教師が勧めた運動部に力を入れる高校に行くことを拒否したからだった。
小林は、自分は柔道に反対しているのではない、柔道界での暴力行為に反対しているのだと強く語った。
「こんな苦しみを味わうのは私たちで終わりにしたいと決心しているだけです」
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